た。
「それでは何だね、君はどうしても支倉の居所を知らないと云うのだね」
根岸刑事は大抵の人間ならその一睨みで、震え上って終《しま》いそうな冷いギロリとした眼でじっと対手を見据えた。
「知りません」
渡辺刑事初め二、三の刑事達に取巻かれた浅田は、浅黒い顔の些《しさゝ》か血の気は失せていたが、平然として答えた。
「好い加減にしろ」
根岸刑事は責めあぐんだように、
「いつまで隠していたって仕方がないじゃないか。君が支倉の居場所を知らないと云う筈がないじゃないか」
「何と云ったって、知らないものは知りません」
「ふゝん、未だ頑張るんだね。君は毎日のように支倉と文通していたじゃないか」
「文通はしていました。然しそれは大内と云う写真館を中に置いての事で、直接に文通していた訳ではありません」
「だからさ」
根岸刑事は押被せるように、
「その中に置いている家を云えと云うんだ」
「大内の方が発《ば》れて終ったので、別の所を拵《こしら》えて知らせると云う事になったきり、何とも云って来ないから、今どこに居るのか少しも分らないのです」
「馬鹿を云え。その打合せはちゃんとすんでいる筈だ。君は支倉がど
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