体の下敷になっていたと思われる部分に、少しばかりボロボロになった布片が残っていた。
石子刑事は注意深くその布片を地上に拡げて見た。布片は二重になっていて、下敷になっているのは帯の一部らしく、上側のは着物の一部らしかった。帯と思われるものは黒ぽい色で、割に幅の広いものゝ一部と思われた。石子刑事は見る/\喜色を現わして、不安そうに白骨を眺めている大島主任を呼びかけた。
「司法主任殿、之は女帯の一部らしいですよ」
「成程、君の云う通りらしいね」
司法主任はじっと布片を眺めながら、
「こっちの方は着物らしいが、色がすっかり褪せて終《しま》ってよくは分らないけれども、何か模様があるようだね」
「地もメリンスらしいじゃありませんか」
「うん、どうもそうらしい」
「そうすると」
石子刑事はいよ/\面を輝かしながら、
「服装の点が問題の死体に一致します。おい、君」
彼は人夫の方を振り向いて、
「女は模様のあるメリンスの着物に黒い繻子の帯をしめていたと云ったね」
「えゝ、そうです」
人夫はうなずいた。
「それが恰度小林貞の家出当時の服装に一致するのです」
石子は主任に向って云った。
「じゃ」
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