はうなずきながら、
「犯人はきっと犯行の現場を見に来ると云った我々の標語《モットー》から云うと、支倉が池田ヶ原の古井戸まで死体を見に行ったと云う事は看過すべからざる事実だね」
「支倉が浅田の妻君に向って、『どこの女だか知らないが、可哀想なものだね』と云った事などは犯罪心理学の方から云って面白い事だね」
 浅田の取調べの席を外して特に列席していた根岸刑事は口を挟んだ。
「僕もそう思うのだがね」
 石子刑事は気乗のしないように答えた。
「どうも年の点でね」
「死後六ヵ月を経過した溺死体の年なんてものは的確に分るものじゃないさ」
 今まで黙々として聞いていた庄司署長は初めて口を出した。
「で、何かい、その死体は他殺ちゅう事になっとるのか、それとも自殺となっとるのかね」

「自殺と云う事になっているのです」
 石子は署長の質問に答えた。
「然し、司法検視をやっていないのですからね。警察医が形式的に見たのに過ぎないのです」
「当時の井戸の状態はどうなっとったのかね、過失で落ちるかも知れんと云う状態になっとったかね」
「それがですね」
 石子は署長のグン/\追究するような質問に少したじろぎながら、
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