のような男がいいのでしょう。私は父や姉の復讐をする考えで、三映キネマに這入って、京子さんに近づいたのです。が、牧太郎は早くもその事に気づきました。そうして、結局京子さんや星田さんを生かして置いては身の破滅と思ったのでしょう。京子さんを殺して、巧みに罪を星田さんに塗りつけたのです。私を威かして、いろいろ手伝わせましたが、どうせ生かしては置かないでしょう。私には父と姉の仇を打つなどと云う力のない事をつくづく悟りました」
「然し、あなたは立派に復讐を遂げましたよ」
 聞き終った村井と津村は声を揃えて云った。
「山川牧太郎の人相はハッキリ分っています。もう捕ったのも同様です」
[#地付き](「探偵クラブ」一九三二年四月〜一九三三年四月)



底本:「「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8」光文社文庫、光文社
   2001(平成13)年12月20日初版1刷発行
初出:「探偵クラブ」
   1933(昭和8)年4月号
入力:川山隆
校正:noriko saito
2008年4月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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