を意味するのか。もし、私の事を暗示するのなら、
 O×B→A
でなければならないのだ。何故なら私はO型の母とB型の父から生れたA型なんだから。
 私は何が何だか分らなくなって来た。然し、たった一つ、毛沼博士の変死事件の渦中に私が引摺り込まれようとしている事は確かなのだ!

     三つの疑問

 正午《ひる》近くなって、私は漸く帰宅することを許されたので、ズキンズキン痛む頭を押えながら、毛沼博士邸を出た。すると、私は忽《たちま》ち待構えていた新聞記者の包囲を受けた。
「君は誰ですか」
「毛沼博士は自殺したんですか」
「博士には何か女の関係はなかったですか」
 彼等は鉛筆をなめながら、めいめい勝手な無遠慮な質問を浴せかけるのだった。
 辛うじてそこを切抜けて下宿へ帰ると、そこにも記者が待受けていた。それから入れ代り立ち代り、各社の記者の訪問を受けた。私は終いには大声を挙げて泣きたくなった。
 二時頃になって、やっと解放されたけれども、私は何を考える気力もなかった。すぐに蒲団を敷いて、その中に潜り込んだ。然し、頭が非常に疲れていながら、ちっとも眠れない。といって、纏った事は少しも考えられ
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