理解され難いのである。
成巧といふことは、悪い例で云へば、成巧した、さて人々に尊敬させたい、とか、では、チツト道楽を始めよう、とか、直ちに次の事業なり計画なりに取かゝるのでない限り自体さうした経過を採るものなのである。而も、さういふ経過を採る所以のものは、人間が、本来先づもののあはれを求める傾向を有するからである。
即ち、幸福の実質といふのは、もののあはれである。
此の事は、誰にも彼にも、云ふと云はないと感じられてはゐる。而も、通念には、なつてゐない。
[#地から2字上げ](一九三四、六、三)
底本:「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」角川書店
2003(平成15)年11月25日初版発行
初出:「文学界」
1934(昭和9)年7月号
入力:村松洋一
校正:小林繁雄
2009年5月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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