ツて、
子供のやうなその口はとンがらせてゐる、
彼女は幾つも私の近くに、皿を並べて私に媚びる。
それからこんなに、――接唇《くちづけ》してくれと云はんばかりに――
小さな声で、『ねえ、あたし頬《ほつぺた》に風邪引いちやつてよ……』
[#地付き]シヤルルロワにて、一八七〇、十月。
[#改丁]
[#ページの左右中央]
附録
[#改ページ]
失はれた毒薬(未発表詩)
ブロンドとまた褐《かち》の夜々、
思ひ出は、ああ、なくなつた、
夏の綾織《レース》はなくなつた、
手なれたネクタイ、なくなつた。
露台《※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ルコン》の上に茶は月が、
漏刻《(ろうこく)》が来て、のんでゆく。
いかな思ひ出のいかな脣趾《くちあと》
ああ、それさへものこつてゐない。
青の綿布《めんぷ》の帷幕《とばり》の隅に
光れる、金の頭の針が
睡つた大きい昆虫のやう。
貴重な毒に浸されたその
細尖《ほさき》よ私に笑みまけてあれ、
私の臨終《をはり》にいりようである!
[#改ページ]
後記
私が茲《(ここ)》に訳出したのは、メルキュル版千九百二十四年刊行の「アル
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