て不便だ。やはり日本絵具を膠で溶解してゆっくりと描いて行く必要があると思う。
 しかしながら私の考えでは、ガラス絵はなるべく小品のミニアチュールとして、手のひらへ乗せて味わう程度のものがもっとも好ましいものであると思う。それのためには油絵具がもっとも調子の深さを表すためにも便利である。
[#地から1字上げ](「美術新論」昭和五年六月)

   私のガラス絵に就いて

 私は前述べました如く、此の美しい効果を持つ技法を、も一度生かして、もっと画家の仕事へ引き入れて、吾々が水彩やグワッシュを用いる如くガラス絵を試みる様にし度いと思うのであります。それで私は、ナルべく簡単で便利な方法を、種々工夫して見たのです。

     私が目下便利だと思って使用している製作材料

 (A) 油絵具使用の場合
[#ここから2字下げ、折り返して10字下げ]
顔料(油絵具) を用います、普通油絵に使うだけの種類は必要です。
  (金銀泥) 泥は大変美しい装飾的効果を現わすものです、私はよく金泥で署名をします。
[#ここで字下げ終わり]
 油[#以下「A」と「B」は「油」の下で二行に分かれ、「A」「B」の下に上
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