絵具をニスの類を交えてペンキのごとくして用いられていると考えられるものもある。
現在でもなお朝鮮で作られているところの手箱や箪笥の扉等の装飾のために嵌め込まれたもので水牛の角を薄くセルロイドのごとく透明となし、これに山水鳥獣がおもしろく描かれてあるのを私は見た。それはやはり泥絵具と墨であり絵具は膠で固められているようだ。
私はガラス絵を観賞する興味も持ってはいるがしかし私は自分でガラス絵を描いてみたいと思う心が強いので結局、めんどうがなくてすぐ手もとにあるところの油絵具を用いて描くことを考えた。それには私はメディアムとして速乾漆液をそのまま柔らかな日本風の彩色筆に含ませて油絵具をきわめて薄くほとんどお汁《つけ》の状態にまで溶解してガラス面へ塗って行く方法をとっている。
それがもっとも効果がよく、第一早く乾燥するので短気な私にとっては都合がいい。その代わりあまりに早く乾燥するので多少ぼかしはやり難いが、これは熟練によらなければならない。
筆洗いとしてはアルコールを用いている。手のよごれやガラスの掃除にも重宝である。
しかしながら多少の大作でもやるとすれば速乾漆液では乾きが早過ぎ
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