であるが、この光の階段はこの球体の場合に限らず、あらゆる立体においてもこれとほぼ同じ理由による光の階段が大概の場合附き纏《まと》うものである。
石膏の胸像も球に比べるとかなり複雑な立体ではあるが、しかしこれを一つの球だと考えてしまって、その調子を眺める事が必要である。
ただ多少の形に変化あるだけ、調子にも複雑な変化を現すが、大体において球の場合と同じ光景を呈するのである。
石膏にあてる日の光は、なるべく右、あるいは左横手よりする事がよいと思う。正面に光があたると、完全な明暗の区別が見えなくなり物体が平板と見え、調子を見る事が出来ないからである。
食パンを使い過ぎない事。しめったパンをゴシゴシと摺《す》り込むと紙が湿って木炭がのらなくなってしまう。
木炭はその尖端《せんたん》を使用し、時には木炭の横腹を以て広い部分を一抹《いちまつ》する事もよろしい。鉛筆画と違って、調子を作るために線の網目や並行の斜線を使用する必要がない。ぼかすためには指頭を以て木炭で描いた上を摺る事もよろしい。
あまり指頭でぼかし過ぎ、こすり過ぎると木炭の色が茶色と変じて死んでしまう。また脂汗《あぶらあせ》
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