きを指で練り固めてゴムの代用とする)
画架
[#ここで字下げ終わり]
以上のものがあれば即ち石膏の胸像の簡単なものから描き初める事が出来る。そしてだんだんと複雑な石膏に及び、やがて生きた人体のモデルに及ぼせばよいのである。
 石膏写生が無興味だとあって、直ちに人体写生に飛越える事も冒険であり無駄骨である。人は動く、形は変化する色彩が複雑で初学の眼には判然としない。またその物質感も石膏と違ってかたい所、あるいは軟かい場所等様々の触感があるために最初に人体を写す事は無理である。

 最初の心得
 石膏の胸像をば画面の中央へいじける事なくまた実物よりも妙に大きくならぬよう、ほぼ実在の大きさを想像させる位いの、のびやかさを以て画面の中央へ行儀よく描くべき事。
 画面の片隅へ胸像がずり込んだり前方へのび出したりしないように、構図よろしく画面へ取り入るべき事。
 なるべく、実物の全体を大まかに描き初め、眼、鼻等の造作を決して気にかけず大きな塊《かたま》りとして見るべき事。どうも、最初の人は必ず目玉を気にして、顔の形も整わない中《うち》から目玉だけははっきりと描くくせ[#「くせ」に傍点]がある。そし
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