しかしながら日本の現代は必ずしも左様にセットを用いなくとも今や何パーセントの日本人はベッドと洋室とパジャマで寝ている。かえって私は純日本的な日本髷の裸女と背景が一〇〇号の力作で現れたらむしろ嫌らしいと思う。臥裸婦というわけのわからぬ名題によって、船底枕に友禅の掛布団、枕もとに電気スタンド、団扇、蚊やり香、しかしてあまりの暑さに臥裸婦となった光景ははなはだ生活的だから描いてみてもいいわけだが、さてこれはあまりにも日本人の伝統が第何感を刺戟せずにはおかない。あまりにもぴったりするところのものである。
ところでソファーとか寝台は部屋の装飾であり、人に見せて多少自慢とする傾向あるものである。そこでソファーの上の人体、寝台上の臥裸婦は日本の閨房程の感じを現さないですむところに、背景としての使用に適当しているという点がある。現れていいものが現れているのだから当然であるが、日本の枕は隠しておくべきものが現れるのだからはなはだ恐縮である。
現れたる水泳着の足をさっぱりと観賞し得るが、隠されたる裾からの一寸の白い足は驚くべきものを放射する。
とにかく私なども私自身が洋室に起臥している関係から、裸女
前へ
次へ
全162ページ中159ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング