少女歌劇の神様が征服しつつあるともいえる。近頃のシュールレアリズムの類にしてもが、あのキリコなどの作画を見ても、室内に馬がいたり、大戦争が始まっていたりする。実に超現実とは見えるけれどもしかし実に正方形の室内が確実に存在し、まさに大戦争が立体的な箱の中にさもほんものらしく始まっている。シュールであるがあくまで現実的である点に不思議な誘惑を私は感じる。
 日本人描くところのシュールは超の方は容易に出来るのだが、何しろ永い星霜を仙人と鶴と亀とを友としていた関係上、なかなかレアリズムとか写実とか、光線の階調の研究とかいう不粋な方面はどうもまだ板につかない関係もあるが、なかなかレアリズムの方がうまく行かないとみえて何かせんべいの如く平坦にしてややもすると大津絵とばけてしまうこともある。
[#地から1字上げ](「みづゑ」昭和五年九月)

   暑中閑談

 この世に住んでいる以上は、ごく少々でも自分の世界に極楽を見出す必要はある。でないとあまりにも憐れだから。しかしこの世といってもパリの都もこの世だし、アメリカもロシアもこの世だが、われわれのこの世は日本現代である。この日本現代のこの世こそは極楽
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