と何かと戦っているところの若いものはまだいいとして、本当に芸術に噛りつきながらもつぶしの利かない、しかも世の中の焦点から消えて行く日本の老大家達の末もあまり明るいものではない、かと思われる。
[#地から1字上げ](「セレクト」昭和五年三月〜四月)
秋の雑感
秋の大展覧会というものは、例えば二科にしても、先ず五十銭の入場料を支払えば、日本全体の今年度に於ける新芸術の進歩、方向その他一切の技術から遠くフランス画壇の意向から、その尖端の新柄の土産に至るまで、悉くを眺めつくす事が出来る甚だ便利な封切りものの常設館でもある。
ここで秋の封切りを一度観賞しておくと、若い男女は日本の新芸術からフランスの風向きに至るまでを一年間は有効に話の種として交際する事が出来る。
もし私が若い男だったら、やはり断髪の近代女性と共にあの会場を散歩して見るであろう。そしてピカソ、ドラン、シュール・レアリズムは、と云った事を口走り乍ら、その無数の大作を私達の背景として漫歩するだろう。そしてその中の一枚を彼女へのお土産として、彼女のピアノの上の壁の為めに買ってやるには少々高価であり過ぎる。そこで絵はがきを
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