しまうことになるのですが、その時は肩の荷の軽さを覚える次第であります。
これが外国でありますと随分の気苦労も多いですが、日本のようなこの不調和が少しもありません。宿屋と、風景と、人情と、画家の仕事と、そして食物とが随分うまい具合に調子が合って行くので画家は楽しんで毎日の仕事に夢中になれるのですが、今のような日本の状態ではちょっと望み難いことでありましょう。まだ他に多くの苦情もあるのですがこの位で止めときます。
因果の種
誰れでも同じ事かも知れないが、どうも私はどんなにちょっと[#「ちょっと」に傍点]した絵を仕上げる場合でも、必ずそれ相当の難産をする。
極く安らかに玉の様な子供を産み落したと云う例は、皆目無いのである。
その難産を通り越すか越さないかが一番の問題である。越せばとに角絵は生れる。越さない時は死産とか流産とか或は手古摺りとか云うものである。
難産が習慣となっている私にとっては、偶に軽い陣痛位いで飛び出したりすると、如何にもその作品に自信が持てないのである。情けない事である。
それでは難産で苦しんだ時の絵は必ず上等で、玉の如き子供であるかと云うに、それが決
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