油絵新技法
小出楢重
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)有《も》たぬように
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)塩何|匁《もんめ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]
−−
序言
日本の油絵も、ようやくパリのそれと多くの距離を有《も》たぬようにまで達しつつある事は素晴らしき進歩であると思う。だがしかし、新らしき芸術の颱風《たいふう》は常に巴里《パリ》に発生している。まだ日本は発祥の地ではあり得ない事は遺憾であるが、それはまだ新らしき日本が絵画芸術のみならずあらゆる文化が今急速に新らしく組み立てられつつ動いて行く工事場の混乱を示している最中である。今あらゆる新らしきものを速かに吸収消化する能力こそ、若き日本人の生命であるともいえる。だが新らしき日本へ新らしき花を発祥させるには根のない木を植えてはいけない。一本の松は地下にどれだけ驚くべき根を拡げているかを調べてみるがい
次へ
全162ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング