驚くべき位《くら》いである、足の短かい顔の大きな女はやがて日本から消滅するかもしれない、すると間もなく、日本の女も西洋の女とあまり形の上においては違いがなくなる事だろうと思う、ただ皮膚とか色の違いが残る位いである。
形は権衡《けんこう》の問題であるからこれは少しつり合いが変だと直《す》ぐ素人《しろうと》にも目につく、日本人の顔の大きさは彼女の洋装において一等皆さんの笑いの的《まと》となるのである、しかしながら色は必ずしも白色でなければならぬとは限らない、印度《インド》の女の皮膚の色には別な軟《やわら》かみと滑《なめ》らかな光沢があって美しい、また日本人の黄色に淡い紅色や淡い緑が交っているのも私は白色人のもつ単調な蝋《ろう》のような不気味さよりも、もっと異常のあたたか味と肉臭をさえ、私は感じる事が出来ると思う。
日本人の裸を最もうまく描いたものは、何といっても浮世絵だと思う、浮世絵に現れた裸体の美しさは、如何に西洋人が描いた理想的という素敵《すてき》な裸体画よりも、如何に人を感動せしめるかは私がいわなくとも知れている事実である、それは決して若い男女が、見てはならないものであるとさえさ
前へ
次へ
全166ページ中36ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング