げ](「アトリエ」昭和四年三月)

   二科会随想

 今年の二科は会場の都合であるいは関西における開会を断念せねばならぬかと思ったところ、幸いにして都合よく大阪で開くことを得るにいたったことは喜ばしい次第である。さて今年の二科ではとくに近代性、時代の尖端的、あるいは野獣的傾向を持つ作品等がかなり賑やかな世評を作ったことであった。
 また左様な作品が相当多く集まったことも事実である。しかしながらわれわれ幕の内から覗いているものにとっては、それら近代性や尖端的なものは二科としては今さらのものではなく、今年とくに力こぶを入れてみたわけでもなかったと思う。偶然世の中全般から集まった絵にそれらの傾向を多分に持ったものが多かったまでである。
 まったく最近の世相は行進曲の、テンポの、スピードの、ジャズの、脚線美の、メカニズムの、野獣的にまで進んだために、勢い一般の左様な傾向に即した絵画を多少増加したかも知れない。またしかし私は世間そのものが、何かかようなものに対して食慾を感じ、それらの傾向あるものに対して同性愛を感じ出したのではあるまいかと思う。
 要するに、左様な絵がよくわかるようにまで世間
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