驕B
 外国に来ては、絵は一枚もかかずにと思っていたが、さて景色を見ると、とてもとてもがまんがならない程面白い景色があるので、とうとうカンヴァスを張り出したよ。日がセナカからあたって、ボカポカ[#「ボカポカ」はママ]として、絵をかいていてもいい気もちだ。日本では、一月頃には風が吹くから、とても郊外では絵などかけないがね。フランスは風が吹かぬのでいい。
 フランス人は絵がすきな人種で、そして油絵はやはり本場だけに、うしろへ立って見ている奴も、中々あいそがいい。今日も、おやじが、お前の絵の色が中々いい、とか、トレジョリー(美しい事)だとか、トレビヤン、トレビヤン(中々いい)などと云って、永い間腰を下ろして見ていた。何か話しかけるんだが、よくわからないので、ウンウンとよいかげんにあしらって、ジャまくさいと、日本語でペラペラ云うてやると、ビックリしよる。そして、ジュヌーコンプランパージャポネーズ(私は日本語がわからん)と云いよる。
 此の頃はお正月で、又カルタでもしているのかい。歌はそののち作っているか、いいのが出来たら送れ。
 もう然し、来月の末には船にのれるかと思うと、うれしい。此の頃はそ
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