手紙はやはり 23 Rue Weber(16e)Paris France 宛でくれてもかまわない。ここに居る僕の知人がよそへ行くと云ってたが、やはり居すわる事になったから、美川君宛でもよろしい。

 十一月二十八日
 もう、巴里もあと十日程でお別れだと思うと、中々残りおしい気がする。
 もっぱら、毎日買物にあるいている。中々すばらしいものはとても高くて、あとの費用に差支えるし、なるべく安いもので、そして僕や重子のすきそうなものをと思って、探している。
 あたまへさすクシは五ツ六ツも買って帰る。手さげのオペラバッグのステキな品のいい奴を買ったよ。袋もののいい奴を少し買った。サラサも買ったよ。泰弘のかぶるフランス風のステキな面白い帽子も二つ三つ買って帰る。女の洋服は仕入れなぞはとてもだめだしするからこれだけはあきらめる方がいい。その代りにいろいろとよさそうなものがあり次第に買って帰る。
 男のものは買い易いが女のものとなると、中々ハズカシイ気がして、そして商店の番女などがジロジロみる様な気がして、中々買いにくいぜ。此の間も櫛を買ったよ。まっ白でホリがあって、すてきに面白いのだが、買うのに
前へ 次へ
全152ページ中133ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング