へその大蜘蛛の姿を墨で描いて、鋏で切り抜くのであった。切り抜いてみると、自分で今切り抜いた筈のその絵の蜘蛛が、心もち悪くて自分で掴めない位なものである。それを我慢しながら、その八本の足の先端へ糊をつけて暗い壁へ貼付けるのである。すると胴体だけが少し浮き上がってちょっと見ると本ものに見えるのである。しかる後、私はさァ皆来てくれ、くもやくもやと騒ぎ廻るのだ。
ある時蜘蛛を生捕りにすることを自慢のおやじが近所にいた、おやじは早速団扇と篩とを持ってやって来て、さあ見なはれや、今生捕りまっさかいといいながらその紙の蜘蛛へ一生懸命篩を被せているのであった。ところが足が糊づけだから、なかなか蜘蛛は動かないのだ。何度被せてみても元の如くちゃんと壁に噛みついているのである。さすがのおやじも少し不気味に思えたとみえて、これはおかしいぞといって少し蒼くなった。見物していた皆のものも少し変な顔をした。おやじはとうとう団扇でくもをなぐりつけたものだ。すなわち紙の蜘蛛はヒラヒラと散って来た。裏は真白だったからおやじは怒った。もこれからは、ほんまにぼんぼん蜘蛛が出たかて、取ったれへんぞといって帰ってしまった。そし
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