ていることに大して自信をもっていない私が、難産をつづけながら因果の種を抱こうというのであるからこれもまた因果なことである。
 世には病身にしてかつ人一倍淫乱だという者がよくあるものだ。私はそれかも知れない。しかしこの行いだけは止めるにも止められない。
 その上、文明がまだ中途半端で混沌としているので、西洋画家の生活が殆ど成立っていないから、まったく生活とは無関係であり、勝手な仕事となっており、しかし多情多淫であっては、やがては疲れはてて奇怪なる低能児を抱えたまま行き倒れてしまうのではあるまいかということを、私の虫が知らせてくれるのである。
 現に行き倒れつつある多くの先輩を見るに及んで情けなく思う。由来私は政治家の死や何かにあまり悲しみを感じないが、名妓のなれのはてとか、役者、二輪加師、落語家の死、あるいは難産しながら死んで行く画家のことを聞くと本当に心が暗くなる。
[#地から1字上げ](「アトリエ」昭和二年九月)

   あまり美しくない話

 蚤、虱、蝿、蚊、南京虫、何とそれは貧乏臭い虫類であることか。
 しかしその中でも蝿と蚊はさほど貧乏の匂いを持っていない。もちろん蝿と蚊は貧乏
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