い》な絵描きがあったとしたら、絵画の道位その人にとって古ぼけた邪道はないかも知れない。
C
私は最近、二科の会場でパリ以来|久方《ひさかた》ぶりの東郷青児《とうごうせいじ》君に出会った、私は東郷君の芸術とその風貌《ふうぼう》姿態とがすこぶるよく密着している事を思う。なお特に私は彼自身の風貌に特異な興味を感じている。そしてそれは、最も近代的にして、色の黒い、そして何処《どこ》かに悪の分子を備えている処の色男である事だ。私はあれだけの体躯《たいく》と風貌と悪とハイカラさと、芸術とを持ち合せながら本人の出演を少しも要求しない処の絵画芸術に滞在している事を甚だ惜んで見た。甚だ御世話な事ではあるがと思っていたが。
D
私は絵を描く事以外の余興としてはスポーツに関する一切の事、酒と煙草《たばこ》と、麻雀《マージャン》と将棋と、カルタと食物と、あらゆる事に心からの興味が持てない。ところでただ一つ、何故か気にかかるものは活動写真である。それで、映画は散歩のついでに時々眺める事にしている。近来、日本製のものがかなり発達したという話だが、私は以前二、三の日本映画を見て心に恥
前へ
次へ
全237ページ中229ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング