ったくもって一九三〇年の海は泳げません。
 しかしながら彼女らの新鮮なる裸身はこんとんとして残る古切れ類やわけのわからない軽便服や、夏だけのアッパッパ、冬のマガレットオーバー等によっておかしくも包まれつつ何がな火事場を走っているようでありますが、これもやがて次に来る新鮮なる彼女達の感覚によってもっと合理的で経済で美しいいでたちとなって、近代都市風景のもっともよき点景となるであろうことを私は信じます。

   画室の閑談

     A

 京都、島原《しまばら》に花魁《おいらん》がようやく余命を保っている。やがて島原が取払われたら花魁はミュゼーのガラス箱へ収められてしまわなければならぬ。しかし、花魁は亡《ほろ》んでも女は決して亡びないから安心は安心だ。
 芸妓《げいぎ》、日本画、浄るり、新内《しんない》、といった風のものも政府の力で保護しない限り完全に衰微してしまう運命にありそうな気がする。
 油絵という芸術様式も、これから先き、どれ位の年月の間、われわれの世界に存在出来るものかという事々を考えて見る事がある。如何に高等にして上品な芸術であっても人間の本当の要求のなくなったものは何によ
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