会得するのには中学程度の知識が必要だったと見え、十五、六歳に及んでうすぼんやりとなる程度、ははん[#「ははん」に傍点]と気がついた。
 しかし、そこで私のたべさされた桃などは、とても家庭でたべるものとは比較にならない上等の品だった。今考えると、水蜜桃らしかった。何しろ口中で甘い汁がどっさりと出て直ちに溶解してしまうのだから素敵《すてき》だ。綺麗《きれい》な鉢に盛られてさアぼんぼんお上りといって出されるのが何よりの楽しみなんだ。それに皆が大変よくしてくれるので、私は幸福な家だと思った。ところがまた妙に大切にしてくれる処が気に食わぬ処もあった。
 それにも一つ、ここへ来ると、あまりに女の人たちが美し過ぎるのと、大礼服を着用しているのと、それらが強い香気を放って、妙に私の心を騒がせるのがきまり悪くて堪《たま》らなかった。それに彼女らは、よってたかって学校でもどこでも、聞かされた事のない会話を喋《しゃべ》るのだ。そして、さアぼんぼん、もう水あげすんだ[#「もう水あげすんだ」に傍点]といって勝手に喜んでいたりするのが、私に諒解《りょうかい》出来ないのだが、何かその臭気や大ぜいの女の色彩や電燈の光
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