い、野暮な優しさを描かうと思つて、頸なぞも思ひ切つて長くし、髪なども態《わざ》と或る時代を現す一定の型に結はさないで、顔の輪郭なども出来るだけ自分の考へてゐるやうに直したが、どうも十分には私の心持ちが現れなかつた。
然し嬉しいとか、悲しいとかの表情のない処までは行つたと思ふ。難を云へば、顔が一体に行き詰つてゐるかと思ふ。優しみといふ点も欠けてゐる。品が十分でない。私としては、モウ少し間の抜けた上品な処がほしかつた。
一体に東京の女は顎が短くつていけない。尤もあまり長過ぎても困るが、どちらかと云へば少し長い位なのがいい。京都には、態と表情を殺してゐるやうな女がよくあるが、あれは中々いゝと思ふ。(画並談)
底本:「日本の名随筆40 顔」作品社
1986(昭和61)年2月25日第1刷発行
1989(平成元)年10月31日第7刷発行
底本の親本:「絵画の将来」中央公論美術出版
1983(昭和58)年6月
入力:渡邉 つよし
校正:門田裕志
2002年12月4日作成
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