人生における離合について
倉田百三
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)亀鑑《きかん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)女御|弘徽殿《こきでん》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから5字下げ]
−−
[#ここから5字下げ]
天の原かかれる月の輪にこめて別れし人を嘆きもぞする
[#ここで字下げ終わり]
私たちがこの人生に生きていろいろな人々に触れあうとき、ある人々はその感情の質が大変深くてかつ潤うているのに出会うものである。そして経験によるとこの種の人々はその人生行路において切実な「別離」というものを味わった人々であることが多い。深い傷ましい「わかれ」は人間の心を沈潜させ敬虔にさせ、しみじみとさせずにはおかない。私は必ずしも感傷的にとはいわない。何故なら深い別れというものは涙を噛みしめ、この生のやむなき事実に忍従したもので、そこには知性も意志も働いた上のことだからである。
人間が合いまた離れるということは人生行路における運命である。そしてこれは心に沁みる切実なことである。世の中には対人関係、人
次へ
全17ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング