下げ終わり]
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船、岸を離る。
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俊寛 (船にすがりつく)わしもつれて帰ってくれ。(船、動く。俊寛水の中に浸《ひた》る)待ってくれ。(船、動く。俊寛水に浸りたるまま、一間ばかり船に引きずられてゆく)
基康 手を放《はな》させろ。
家来 (俊寛の手をつかんで放す)
俊寛 (またしがみつく)
基康 (刀を抜き背《むね》にて俊寛の手を打つ。俊寛、手を放す)急いで漕《こ》げ。
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船、岸を離れる。
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俊寛 (ずぶぬれになったまま)船を戻《もど》せ! 船を戻せ!
基康 (家来に)急げ。(俊寛に)わしのせいではないぞ。
成経 きっと迎えにまいりますぞ。
康頼 ゆるしてくれ。ゆるしてくれ。(手を合わす)
俊寛 助けてくれ! わしを一人残すほどなら、むしろわしを殺してくれ。
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答えなし、船退場。
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