が、わしの心の眼に見えようとしている、魂をつないでいた見えぬ鎖が今切れようとしている。打ちかちがたくあきらめられていた地上の法則が滅亡して、魂は今新しき天の法則の支配にはいろうとしている。試みられ煉《いた》められたる魂は新生のよろこびにおどっている。今こそすべての矛盾が一つの深い調和に帰しようとする。そしてこの世でのさまざまの苦しみが一つとしてむだでなかったことがわかろうとしている。あゝ。それがみな仏様の愛と義の計画であったことがわかろうとしている。(しみじみとした独白のごとくになる)なにもかもよかったのだな。わしのつくったあやまちもよかったのだな。わしに加えられた傷もよかったのだな。ゆきずりにふと挨拶《あいさつ》をかわした旅の人も、何心なく摘みとった道のべの草花もみなわしとはなれられない縁があったのだな。みなわしの運命を成し遂げるために役立ったのだな。
専信 (登場。弟子《でし》たちに一礼する)ただ今到着いたしました。
唯円 専信殿、一刻も早くお師匠様のおそばに。
専信 (親鸞の寝床のそばに寄る)お師匠様、専信でございます。
親鸞 (目をひらく)専信か。よく来てくれた。(目おのずから
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