そうする義務があると思います。しかるに唯円殿は私たちの理を尽くしての意見も用いず、今の身持ちをあらためる気はないと宣言しました。理不尽ではありませんか。あまつさえ私たち長者に向かって非難の口気を示しました。善鸞様|御上洛《ごじょうらく》のみぎりにも、私は間違いがあってはならないと思って幾度あの人を戒めたか知れません。私を軽《かろ》く見ています。私はこれまで多くの弟子衆をあずかりましたが、あの人のようなのは初めてです。
親鸞 (黙然として考えている)
僧二 いや。たしかに上を侮る傲慢《ごうまん》な態度でしたよ。あれでは永蓮《ようれん》殿の御立腹は決して無理はないと思います。
僧三 お師匠様の袖《そで》にかくれて自分の罪を掩《おお》おうとするのは最もいけないと思いました。
親鸞 日ごろおとなしいたちだがな。
僧二 そのおとなしいのがくせものですよ。小さな悪魔はしばしばみめよき容《かたち》をしていますからな。おそれながら、お師匠様は唯円殿を信じ過ぎていらっしゃいませんでしょうか。(躊躇《ちゅうちょ》しつつ)寵愛《ちょうあい》があまると申しているお弟子《でし》たちもございます。
親鸞 しかしだ
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