ものはなく、肉体的想像力を持たぬものもあり得ない。全然とり返しがつかぬという考え方はこれは天国的なものでなく、悪魔の考え方である。
しかし童貞を尊び、志向を純潔にし、その精神に夢と憧憬とを富ましめるということは、青年の恋愛にとって欠くべからざる心がけである。
五 相互選択と男性のイニシアチヴ
青年男女はその性の選択によって相互に刺激し合い、創造と淘汰との作用がおのずと行われる。青年や、娘の美の新しい型が生み出される。これは個人と個人との間だけでなく、ひとつのゼネレーションを通じてもあらわれる。青年たちがみな健康な、朗らかな、感覚的で多少茶目なところのある娘たちを要求すれば、そうした娘たちがあらわれてくる。娘たちが逞しく、しかし渋みがあって、少し憂鬱な青年を好めばそうした青年が本当にあらわれてくる。かようにしてクローデット・コルベールに似た娘や、クラーク・ゲーブル型の青年がちまたに見られるようになるのだ。
これは恐ろしいことだ。青年たちがどんな娘を好み娘たちがどんな青年を欲するかは実に次のゼネレーションの質と力と色とを動かすのだ。
そこで青年男女には、人類の健康と進
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