れわれはアメリカ婦人のようなのが、婦人として本性にかなった正常な姿ではなく、やはり社会の欠陥から生じた変態であって、われわれは早く東洋的な、理想的国家をつくって、東洋婦人が安んじてその本性を生かせるように、アメリカ婦人の真似をしなくてもいいようにしなければならぬと思うのである。婦人をその天与の生理にも、心理にも合わない労働戦線に狩り出して、男子のような競争をさせるのでなく、処女らしさ、妻らしさ、母らしさを保護し、育児と、美容とに矛盾しない範囲の労働にとどめしめることは、新しい社会の義務だと思うのである。天理の自然、生命の法則に従うことは、目前の生活解放権利拡張ということより根本的である。現在の社会ではいわゆる婦人の権利拡張の闘争から手を引くことは、一層鎖を重くすることになるが、理想的国家では、処女性、母性、美容の保護、ならびに、これと矛盾しない仕事しかしないということが婦人の天与の権利でなくてはならぬ。そしてこれを保証することは国家と男性との義務でなくてはならぬ。
最後にこの天理の自然、生命の法則という視点から、最初に立ちかえって、夫婦生活というものには無理が含まれていることも、英知
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