トーであった。そこで私は触れ得るかぎりの人と触れ、彼らをことごとく隣人の愛で包もうと努めた。他人の争いの仲裁者となったり、病める青年を慰めたり、新聞売りの老婆や、飯焚《めした》きの小娘や、犬やをも労《いた》わり愛した。また卑しい仕方に私を弄《もてあそ》ぼうとした一人の少女にも、少しの怒りをも漏らさずに、かえって彼女に赦しの徳を説くこともできた。私の生活は、ここで、まれな静けさと、調和とを獲《え》て落ちつくように見えた。そしてみずからも天の甘美と、遠い平和とに与《あずか》るような心地がした。けれどもそれは、たまたま運命に許されての、偶然な恵みにすぎなかった。運命に毀《こぼ》たれぬ確かな平和はまだその影をも私に示しているのではなかった。病院生活の終わり頃に、私はまた一つのできごとに試みられて私の生活法を代えねばならなくなった。私は一人の社会的に身分の低い女に恋された。私は牧師や、伯母の注意があったにもかかわらず、キリストがサマリアの女と井戸端で語った例などを思い、どのような人でも愛を求めてくるものを斥《しりぞ》けてはならないとて、この女とも公けに交わった。私はこの女をもナハバーリンとして交
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