ことを飢え求めた。
私の傍を種々なる女の影が通りすぎた。私はまず女のコンヴェンショナルなのに驚いた。卑怯なのにあきれた。男性の偉大なる人格の要求を容れることのできない小さなのに失望した。私は若さまと嬢さまとの間に成り立つような甘い一方の恋がほしいのではない。生命と生命との慟哭《どうこく》せんほどの抱擁がほしいのだ。私が深く突っ込むとき私はみな逃げられた。気味悪がられた。私は私の深刻なる真面目なる努力が遊戯にしてしまわれはしまいかと心配せずに女を求むることはできなかった。私は処女は駄目なんだろうかと思った。酒と肉と惑溺《わくでき》との間には熱い涙がある。その涙のなかにこそ生命を痛感せる女がいるかもしれないと思った。私は非常識にも色街の女に人格的な恋を求めに行った。私はこんなところへも肉を漁りに行かなかった。私は童貞であったが、ゆえあって私の生殖器は病的に無能力であったのである。ただ魂でも、肉でもない、私の全部生命を容れてくれるような女を求めに行ったのだ。けれどもそれは失望に終わった。あの艶々《つやつや》しい黒髪としなやかな白い肌、その美しい肉体のなかに、どうしてこんな下劣な魂が宿って
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