氏@しなければならないと思った。
生命と生命との接触の問題は宇宙における厳粛なる偉大なる事実である。私はこの問題に対して忠実でありたい。私はこの問題に対して曖昧な虚偽な態度はとりたくなかった。私は稚いながらも私の信ずる真理の道を進もうと思った。
かくて極端なる利己主義者となった。それもショウペンハウエルの底気味悪き思想を潜りて出でたる戦闘的態度の利己主義であった。初めより生の悲痛と不調和とを覚悟して立ちたるデスペレートな利己主義であった。私は戦っておよそ Egoist の味わい得べきほどのものをことごとく味わい尽くして死にたいと思った。私はその頃の私の心の怪しげなる緊張を忘れることができない。私の生命は血の色に漲《みなぎ》っていた。ほしいままなる欲望にふくれていた。私は充たされざる性欲を抱いて獣のごとく街を徘徊しては、昔洛陽の街々に行なわれたる白昼の強姦のことを思った。魯鈍なる群衆の雑踏を見ては、私に一中隊の兵士があれば彼らを蹂躪《じゅうりん》することができるなどと思った。私の目の前をナポレオンと董卓《とうたく》と将門《まさかど》との顔が通っては消えた。強者になりたい。これが私の唯
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