ニ、私の身分との社会上の相違を気にかけていでもするかのように、あなたはあのようなことをおっしゃるのはどうしたものでしょう。
私が一度でもそのような気持ちの影をでもあらわしたことがありますか? 私はあなたがお米を磨《と》いだり、着物を洗濯《せんたく》したりなさるのをまことにかいがいしく美しく感じています。そのようなことを気にかけてはいけません。私は働くことと愛することとを結びつけて考えます。純な、健康な、よく働く愛らしいお絹さん。あなたはまことに純潔で美しいです。複雑な荒《すさ》んだ人々の間にばかりくらしてきた私にはあなたが神の使のようにさえ見えます。あなたはそのままで清らかで完全です。もしこの世が天国のようなところなら、あなたは栄えを受くべきです。けれどもこの世では、あなたは蛇《へび》のごとき慧《さ》かしさのかけているために、私にはあぶなっかしく見えます。そしてそれゆえに私はますますあなたを傷つけてはなりません。あなたから初めてあのような手紙をもらったとき、私は心の奥に強い誘惑を感じました。(あなたは恐ろしいとは思いませんか。すべての男にはそのようなところがあるのです)。あなたを傷つけることはたやすいことです。私はけれど神の子です。今日まであなたにほしいままな表現をせずに神様を畏れてまいりました。あなたを重んじ、この後もそれを続けなくてはなりません。あなたが冷淡を感じるのは私がかえってあなたを愛しているからです。あなたは今はそれがわからないのです。お絹さん。私はあなたに知恵をつけることはじつは好まないのです。悪に対して備えるためにばかり必要な知恵を得ることはむしろやむをえないかなしいことです。私は信じる人に、信じるなとすすめるようなものです。あなたはほんとに今のままで善いのです。この世が悪いからしかたがないのです。けれどあなたはどうせ知らなければならないことは、知らなければならないのです。
顔の赤くなるほど羞《はず》かしいことや、また生きていることがいやになるほど卑しいことや、まだまださまざまの Evil を!
おお神様があなたをお守りくださいますように! けれど私は深く考えなければなりません。あなたのお手紙のお言葉は強く私の胸に響きました。私ははげしく省みさせられました。私にはそのような癖があるのです。説教したがる癖が。私は神様に祈っていろいろ考えてみました
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