。あれから間もなく豊後守様はお役をお退きになられたのですからね。
私は溜飲を下げましたよ。そうして私は自分の腕を益※[#二の字点、1−2−22]信じるようになりましたよ。しかし私は二度と再び幽霊の絵は描きますまい。何故《なぜ》とおっしゃるのでございますか? 理由《わけ》はまことに簡単です、たとえこの後描いたところで到底あのような力強い絵は二度と出来ないと思うからです」
これは後年ある人に向かって北斎の洩らした述懐である。
底本:「怪しの館 短編」国枝史郎伝奇文庫28、講談社
1976(昭和51)年11月12日第1刷発行
初出:「サンデー毎日」
1925(大正14)年1月1日号
入力:阿和泉拓
校正:多羅尾伴内
2004年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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