居所攻めだ。胴を取られても小手を打たれても、擦《かす》った擦ったといって置いて、敵が急《あせ》って飛び込んで来るところを、真っ向から拝み打ち、ただ一撃でやっつけるのだ」「観世、おれとはどうだろう?」「平手、お前となら面白かろう。しかし、あるいは覚束ないかもしれない」
いわれて造酒は厭な顔をしたが、田舎者の方をジロリと見た。と田舎者は相も変らず、ノッソリとした様子をして、道場の真ん中に立っていた。たいして疲労《つか》れてもいないらしい。審判席では定吉先生が、さも驚いたというように、長い頤髯《ひげ》を扱《しご》いていた。眉の間に皺が寄っていた。神経的の皺であった。
「秋田藤作は駄目としても、観世銀之丞は上目録だ、それが一合も交わさずに、引き退くとは驚いたな。非常な腕前といわなければならない。しかしどうも不思議だな、そんな腕前とは思われない」
平手造酒と田舎者
定吉は思案に余ってしまった。「これはおれの眼が曇ったのかもしれない。どうにも太刀筋が解らない。とまれこやつは道場破りだな。このままでは帰されない。もうこうなれば仕方がない。平手造酒を出すばかりだ」
で彼は厳然といった
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