在は黒船の上に、妾達一統の頭領として、君臨しておられるのでございます。……いえいえ嘘ではございません。どうぞお聞きくださいまし。みんなお話し致しましょう。でも時間がございません。出帆しなければなりませんので。妾の行衛《ゆくえ》が知れないので、騒いでいることでございましょう。……それではほんの簡単に、申し上げることに致しましょう。……今年の秋の初め頃、妾達はこの地へ参りました。妾達の本当の国土といえば、南洋なのでございます。そうして妾はその南洋で成長したものでございます。ボルネオ、パプア、フィリッピン諸島に、とりまかれているセレベス海に、妾達の国土はございますので。どうして日本に参りましたかというに、父の財産がそっくりそのまま日本に残してございましたからで。それを南洋へ移したいために、やって参ったのでございます。……この地へ参ったその日のうちに、妾はあの観世様を愛するようになりました。どうぞおさげすみくださいますな。妾のような異国育ちのものは、愛とか恋とかいうようなことを、憚からず申すものでございますから。……するとある晩観世様が、別荘へ迷って参られました。そうして父と逢いました。そうし
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