れねえ」「だが、どうして助け出す?」造酒は呻くように訊きかえした。「主知らずの別荘だって、どこにあるのかわからないではないか」「ナーニ、そんなことは訳はねえ。刀の鞘の鞘口へ、粘土が詰められてありましたね。そいつが崩れていなかったのは、永く海にいなかった証拠だ。いずれ手近のこの辺に、別荘はあるに違えねえ。銚子からはじめて付近の港を、これからズッと一巡し、人に訊いたら解りましょうよ」「いかさまこれはもっともだ。では一緒に尋ねようか」「いうにゃ及ぶだ。参りましょう!」そこで二人は手をたずさえ、町の方へ走って行った。

    造酒と次郎吉別荘へ忍ぶ

 次郎吉とそうして平手造酒とが「主知らずの別荘」のあり場所について、最初に尋ねた家といえば、好運にもお品の家であった。そこで二人は一切を聞いた。銀之丞が銚子へ来たことも、お品の家に泊まっていたことも、主知らずの別荘へ行ったきり、帰って来なかったということも。
「だからきっと銀之丞様は、いまでもあそこの『主知らずの別荘』に、おいでなさるのでございましょうよ」こういってお品は寂しそうにした。そこで二人はあすともいわず、今夜すぐに乗り込んで行って、造
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