に清蔵はここ七、八年、全く消息をくらましていた。もう死んだというものもあり、南洋へいったというものもあり、日本近海からは彼の姿は、文字どおり消えてなくなっていた。で、今度の海賊沙汰についても、彼の噂はのぼらなかった。したがって平八の心頭へも、清蔵の名は浮かんで来なかった。しかるにいよいよぶつかってみれば、その海賊は森田屋なのであった。
「俺はまたもや目違いをした」
 思うにつけても平八は、憮然たらざるを得なかった。
 この時|船縁《ふなべり》を飛び越えて、森田屋清蔵がやって来た。と見て取った平八は、つと前へ進み出たが、
「おお森田屋、久しぶりだな!」
「え?」といって眼を見張ったが、
「やあ、あなたは郡上の旦那!」
「ナニ、郡上?」といいながら、ツカツカやって来たのは武士であったが、
「うむ、それでは世に名高い、玻璃窓の郡上平八老かな」
「そうして、あなたは秋山殿で」「いかにも拙者は秋山要介、名探索とは思っていたが、郡上老とは知らなかった」「奇遇でござるな。奇遇でござる」二人はすっかりうちとけた。
「ヤイヤイ野郎どもトンデモない奴だ! 秋山先生と郡上の旦那へ、手向かいするとは不量見、あ
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