上を偽《あざむ》く手段じゃねえのか」
「とんでもないこと、どう致しまして」次郎吉はいやアな顔をした。
「ほんとに魚を売るのかえ」
「売る段じゃございません」
「塩引きの鮭でも売るのだろう」
「ピンピン生きてるたい[#「たい」に傍点]やこち[#「こち」に傍点]をね」
「おお、そうだったか、それは気の毒。アッハハハ、面白いなあ」
益※[#二の字点、1−2−22]厭味に出ようとした。
「なにの、俺は、お前の稼業は、こいつだろうと思っていたのさ」壺を振るような手付きをし、
「ソーレどうだ、袁彦道《えんげんどう》!」
「そいつあ道楽でございますよ」
「ふふん、なるほど、道楽だったのか。それはそれはご結構なことじゃ。……それにしても思い切ったものだ。ちっとも賭場《とば》へ顔を出さないな」
「なあにそうでもございませんよ」気がなさそうに笑ったが、「やっぱりチョクチョク出かけているので」
「それにしては逢わないな」
「駆け違うのでございましょうよ」
「ちげえねえ、そうだろう。……だが細川へは行くまいな」こういうと宗俊はニヤリとした。これには意味があるのであった。
はたして次郎吉は厭な顔をしたが、
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