すぐに引っ返して現われた。
「お目にかかるそうでございます。いざお通りくださいますよう」
「ご免」
 というと玄関へ上がり、そこで刀を取り次ぎへ渡し、郡上平八は奥へ通った。
 待つ間ほどなく現われたのは、大兵肥満威厳のある、五十年輩の武士であったが、すなわち向井将監であった。
「おおそこもとが郡上氏か、玻璃窓の高名存じておる。碩翁殿よりの紹介状、丁寧《ていねい》でかえって痛み入る。くつろぐがよい、ゆっくりしやれ」
 濶達豪放な態度であった。
「早速お目通りお許しくだされ、有難き仕合わせに存じます」
「大坂表で処刑された、海賊赤格子九郎右衛門について、何か聞きたいということだが」
「ハイ、さようにございます。お殿様には先祖代々、お船手頭でございまして、その方面の智識にかけては、他に匹儔《ひっちゅう》がございませぬ筈、つきましては赤格子九郎右衛門が、乗り廻したところの海賊船の、構造ご存知ではございますまいか?」
「さようさ、いささかは存じておる」
「やっぱり帆船でございましたかな?」
「さよう、帆船ではあったけれど、帆の数が非常に多かったよ」
「ははあ、さようでございますか」
「それにその
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