眉間を目掛けて投げてこい」「それじゃ思いきって投げますべえ」
 二人は左右へス――ッと離れた。あわい[#「あわい」に傍点]はおおかた十間もあろうか、一本の鉄扇を右手に握り、周作は笑って突っ立った。
「はじめの一つはお毒見だ」
 こういいながら甚内は、手頃の小石を一つ握った。
「それじゃいよいよやりますだよ」叫ぶと同時にピュ――ッと投げた。恐ろしいような速さであった。と周作の鉄扇が、チラリと左へ傾いたらしい。カチッという音がした。つづいてドンという音がした。石が鉄扇へさわった音と、板の間へ落ちた音であった。
「やり損なったかな、こいつアいけねえ。が、二度目から本式だ」
 甚内は二つ目の石を取った。とまたピュ――ッと投げつけた。今度は鉄扇が右に動き、カチッという音がして、石は右手へ転がり落ちた。
「ほう、こいつも失敗か」甚内は呆れたというように、口をあけて突っ立ったが、「よし」というと残りの石を、一度に掬《すく》って懐中へ入れた。
「ようござんすか、先生様、今度は続けて投げますぞ」
「うん、よろしい、好きなようにせい」
 その瞬間に甚内の左手《ゆんで》が、懐中の中へスルリとはいり、石を握っ
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