れを明かしたのは、別荘番の丑松であった。
「……つまりそいつをふんだくろうとして、市之丞めとその徒党が、ここへ攻め込んで来るんでさあ。が、そいつは見つかりッこはねえ。何せ別荘にはないんだからね。それこそ途方もねえ素晴らしいところに、しっかり蔵《しま》ってあるんだからね」
その丑松はこの邸では、かなり重用の位置にいた。九郎右衛門も丑松だけには、どうやら一目置いているらしかった。年は三十とはいっているけれど、一見すると五十ぐらいに見え、身長《たけ》といえば四尺そこそこ、そうして醜いみつくちであった。
彼はいつも象ヶ鼻の上から、入江ばかりを見下ろしていた。
この家で一番の不幸者は、お艶の弟の六蔵であった。それは重い心臓病で、死は時間の問題であった。それに次いで不幸なのは、六蔵達の母であった。良人《おっと》の強い意志のもとに、長年の間圧迫され、精も根も尽きたというように、いつもオドオドして暮らしていた。
妖艶たる九郎右衛門の娘
この中にあってお艶ばかりは、太陽のように輝いていた。美しい縹緻《きりょう》はその母から、大胆な性質はその父から、いずれも程よく遺伝されていた。そうし
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