人だけは、どうやら眼鼻がついていた。
「俺を加えて六人だけは、普通に働けると認めていい。よし、それではこの連中を、ひとつ上手に配置してやろう」
 そこで銀之丞は命令した。
「準太は八人の仲間《ちゅうげん》をつれ東南の出邸《でやしき》を守るがいい。卓三も八人の仲間をつれ東北の出邸を守るがいい。千吉も松次郎も八人ずつつれて、西北と西南の出邸とを、やはり厳重に守るがいい。俺と丑松とは二人だけで、邸の警護にあたることにしよう。……敵の人数は多くつもって[#「つもって」に傍点]、百人内外だということである。味方よりはすこし[#「すこし」に傍点]多い。しかし味方には別荘がある。この厳重な別荘は、優に百人を防ぐに足りる。で油断さえしなかったら、味方が勝つにきまっている。ところで夜間の警戒だが、各自《めいめい》の組から一人ずつ、屈強の者を選び出して、交替に邸内を廻ることにしよう。そうして変事のあったつど、警鐘を鳴らして知らせることにしよう。どうだ、異存はあるまいな?」
「なんの異存なぞございましょう」
 こうして邸内はその時以来、厳重に固められることとなった。
 親しく一緒に暮らして見て、九郎右衛門と
前へ 次へ
全324ページ中167ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
国枝 史郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング