の室《へや》と枝折戸《しおりど》との、真ん中に置くのが本格なのだ」
「どういう訳でございましょう?」
「門の外から室の様子を、見られまいための防禦物《ぼうぎょぶつ》だからで、横へ逸《そ》れては目的に合わぬ。ところがこれは逸れている。室の様子がまる見えだ」
「そういえばまる見えでございますね」
お品はすっかり感心して、銀之丞の話に耳傾けた。
それが銀之丞には面白かった。もちろん彼の説などは、拠《よ》りどころのない駄法螺《だぼら》なので、それをいかにももっともらしく、真顔《まがお》を作って話すというのは、どうやらお品に弱点を握られ、今にもそこへさわられそうなのが、気恥ずかしく思われたからであった。つまりいい加減の出鱈目《でたらめ》をいって、話を逸《そ》らそうとするのであった。
「だから」と銀之丞はいよいよ真面目《まじめ》に、「もしもここに敵があって、この部屋の主人を討とうとして、あの枝折戸の向こうから、鉄砲か矢を放したとしたら、ここの主人はひとたまりもなく、討たれてしまうに相違ない。すなわち防禦物の石燈籠が、横へ逸れているからだ」
「ほんにさようでございますね」
「しかるによって……」
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