はゾッと悪寒を感じた。
 急いで窓を開けて見た。
 地は闇にとざされていた。下へ下りるべき手がかりはなかった。
「計られた! 計られた! 計られた!」
 彼は思わず地団駄を踏んだ。
 まさしく彼は計られたのであった。上へ上へと誘《おび》き上げられ、最上層まで上ったところで、彼は一切の階段を、ひっ外されてしまったのであった。
 これは恐るべき運命であった。
 いったいどうしたらよいだろう?
 犬と狼とは騒ぎ出した。彼らは葉之助の後を追い、一緒にここまで上って来た。彼らも恐ろしい運命を、動物特有の直感で、早くも察したものらしい。
 階段口を覗いたり、葉之助の顔を見上げたりした。
 やがて憐れみを乞うように、悲しそうな声で唸り出した。
 葉之助は狼狽した。
 その時一層恐ろしいことが、彼と獣達とを脅《おびや》かした。
 と云うのは階段口から、黒い煙りが濛々《もうもう》と、渦巻き上って来たのであった。

         二〇

 焼き打ち! 焼き打ち! 焼き打ちなのであった!
 邪教徒が塔へ火を掛けたのだ。
 遁がれることは出来なかった。
「残念!」と葉之助は呻《うめ》くように云った。
 窓
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