松明《たいまつ》の火であった。つづいて一点また一点、松明の火が現われた。
大勢の人が屋根の上に、一列に並んで立っていた。
そうしてその中には教主もいた。男女二人の教主がいた。
何かが始まろうとしているらしい。何かを始めようとしているらしい。
何をしようとするのだろう? と、ガチンと音がした。「ウオーッ」と唸る熊の声がした。檻を誰かが開けたらしい。三頭の熊がしずしずと檻から外へ現われ出た。それが松明の火で見えた。続いてガチンと音がした。
無数の狼が先を争い、檻の中から走り出た。
一六
教徒達の意図は証明された。彼らは葉之助を惨酷《ざんこく》にも、猛獣に食わせようとするのであった。
邪教徒らしいやり方であった。敢《あえ》て葉之助ばかりでなく、これまで幾人かの人間が、猛獣の餌食《えじき》にされたのであった。裏切り者と目星を付けるや、彼らは用捨なくその者を捕えて、人知れず檻の中へ入れたものであった。猪の食っていた何かの骨! それは人間の骨なのであった。ただし葉之助は手強《てごわ》かった。捕えることが出来なかった。そこで猛獣の檻をひらき、四方を囲んだ広い空地で
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