]と刃並みを覗いて見た。空には星も月もなく、中庭を囲繞《いにょう》した建物からは、灯火《ともしび》一筋洩れていない。で、四方《あたり》は真の闇であった。それにも関らず白々と、刀気が心眼に窺われた。
「うむ、有難い、刃こぼれはない」
これは刃こぼれはない筈であった。それほど人は切っていたが、チャリンと刀を合わせたのは、二、三合しかないからであった。
「よし」と云うと左の袖を、柄へキリキリと巻きつけた。それからキューッと血を拭った。
耳を澄ましたが物音がしない。そこでユラリと立ち上がった。
「どのみち[#「どのみち」に傍点]地理を調べなければならない」
で、そろそろと歩いて行った。
一つの建物の壁に添い、東の方へ進んで行った。
行手《ゆくて》にポッツリ人影が射した。で、足早に寄って行った。
その人影は家の角を廻った。
「ははあ角口に隠れていて、居待《いま》ち討ちにしようというのだな」
葉之助は用心した。足音を忍んで角まで行った。じっと物音を聞き澄ました。
コトンと窓の開く音がした。ハッと彼は飛び退《すさ》った。同時に何物か頭上から、恐ろしい勢いで落ちて来た。それは巨大な鉄槌
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